令和6年度6月に診療材料の価格改定が行われ、循環器の虚血系の材料はいつも通り値下げになりました。
よくメーカーの担当者が「償還がどんどん下がってまして(^_^;)」と言っていますが、はたしてどうなのか虚血性心疾患治療のPCIに関するデバイスを一覧にしてまとめてみました。
さっそく表にしたのがこちらになります↓
PCI関連製品の新旧価格差
用途/区分には製品がわかりやすいように製品用途やカテゴリーを掲載してます。
(旧)~R6年5月の列には以前までの償還価格を記載しています。
(新)R6年6月~の列には最新の償還価格を記載しております。
価格差の列は(旧)価格 - (新)価格 = の金額なので差額を記載しております。さらに右は値下がり率を記載した列になります。値下がり率が5%以上の行は太字にしてあります。
用途/区分 | (旧)~R6年5月 | (新)R6年6月~ | 価格差 | 値下がり率 |
シース 標準型 | 2,160 | 2,130 | -30 | 1.39% |
シース 蛇行血管用 | 2,760 | 2,700 | -60 | 2.17% |
0.035”ガイドワイヤー | 1,880 | 1,870 | -10 | 0.53% |
0.035”ガイドワイヤー 交換用 | 2,180 | 2,090 | -90 | 4.13% |
造影用カテーテル 一般用 | 1,790 | 1,720 | -70 | 3.91% |
ペーシングカテ 一時ペーシング型 | 15,100 | 14,400 | -700 | 4.64% |
ガイディングカテ 冠動脈 | 9,320 | 8,220 | -1100 | 11.80% |
マイクロカテ OSB | 36,900 | 36,600 | -300 | 0.81% |
血栓異物除去用留置カテーテル 一般型 | 115,000 | 115,000 | 0 | 0.00% |
血栓除去カテ 経皮的血栓除去用 標準型 | 34,000 | 31,700 | -2,300 | 6.76% |
PCI用 狭窄部貫通カテーテル | 37,100 | 36,700 | -400 | 1.08% |
IVUS 血管内超音波プローブ 標準 細径 | 72,500 | 66,500 | -6,000 | 8.28% |
プレッシャーワイヤー | 135,000 | 128,000 | -7000 | 5.19% |
PCI用ワイヤー 一般用 | 10,900 | 10,100 | -800 | 7.34% |
PCI用ワイヤー 複合・高度狭窄部位用 | 15,500 | 14,500 | -1,000 | 6.45% |
PCI用バルーン 一般用 | 32,000 | 29,000 | -3,000 | 9.38% |
PCI用バルーン パーフュージョン型 | 146,000 | 146,000 | 0 | 0.00% |
PCI用バルーン カッティング型 | 116,000 | 110,000 | -6,000 | 5.17% |
PCI用バルーン スリッピング防止型 | 95,000 | 95,000 | 0 | 0.00% |
PCI用バルーン 再狭窄抑制型 | 173,000 | 173,000 | 0 | 0.00% |
PCI用ステント 再狭窄抑制型 | 136,000 | 120,000 | -16,000 | 11.76% |
PCI用ステント 救急処置型 | 290,000 | 290,000 | 0 | 0.00% |
PCI用 特殊カテーテル 切削型 | 207,000 | 202,000 | -5,000 | 2.42% |
PCI用 特殊カテーテル 破砕型 (IVL) | 429,000 | 429,000 | 0 | 0.00% |
センサー無しIAB 一般用標準型 | 154,000 | 151,000 | -3,000 | 1.95% |
センサー付きIAB 一般用センサー内蔵型 | 177,000 | 174,000 | -3,000 | 1.69% |
償還価格が下落してるのがわかると思います。ステントのDESと、IVUSのカテと、通常のバルーンカテーテルの下落はインパクトが大きいです。
下げ率の大きいカテゴリーは対抗製品が多く価格競争が起きた物が多いです。比較的新しいカテゴリーは価格競争が起きにくくするため、メーカーがディーラーへの卸価格を高めに設定しているものが多いです。なので償還価格で下落が起きにくくなっていると考えられます。
次に償還価格の下落が与える影響を解説していきます。
償還価格下落の影響
償還価格が下落すると病院もディーラーもメーカーも影響があります。
償還価格変更時に起こる価格交渉
上の絵が償還価格変更前で、病院の利益が¥3,840あったのが変更後¥840まで下がってします。比較すると、-¥3,000になります。
こうなると病院にとって不都合なので、ディーラーへ価格交渉をします。
このような流れで価格交渉が行われます。上記の絵ではメーカーが「値下げできません」となっていますが、製品やメーカーによって価格対応にばらつきがあるので、価格対応できるケースもあります。ただ昨今の情勢から考えると、製造コストの上昇や償還価格の下落で、メーカーも限界値に来ているようで、現状は価格交渉が難しいのが事実です。
病院納入価の豆知識
商品の価格で病院納入価格が償還価格を上回る事を『逆ザヤ』と言います。基本的にディーラーは税込みで償還価格以内に収まるように納入価格を設定しています。消費税が10%だから、償還価格に対して90.9%(税抜)が上限になります。
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